カウンターバランスバルブの主な用途

カウンターバランスバルブ(Counterbalance valve または Overcentre valve)は主に下記の用途に使用されます。

  • 負荷保持:配管破断や切換弁からの内部漏れが発生した場合でも、自重によるシリンダ・モータの落下や保持圧低下を防止。
  • 負荷制御:自重や慣性による暴走(キャビテーション)を防ぎ、パイロット圧力に応じた滑らかな下降・駆動制御を実現。
  • 過圧保護:外力や温度上昇に伴う回路内の異常高圧からアクチュエータを保護するリリーフ機能を装備。(過渡期オープン方向制御弁、アンチショックバルブを装備した方向制御弁で圧力補償付きカウンターバランスバルブを使用する場合のみ)
  • 反対方向へは自由に流れるようにする。

カウンターバランスバルブの安定性について

カウンターバランスバルブの多くの用途において、負荷制御の課題の多くは、自振(チャタリング)を防ぎ、安定性を高めることにあります。
一般によく使用されているカートリッジ式のカウンターバランスバルブは、安定性を確保するための選択肢が「低パイロット比(1.5:1、2:1など)にする」、「低定格流量仕様(Restrictive)を選択する」、「ベントなし仕様を選択する」に限られています。
しかしながら、これらの選択肢には回路構成や効率の面でトレードオフ(デメリット)が存在します。

低パイロット比を選択するデメリット

パイロット圧(開弁圧)が高くなる:パイロット比が低いと、バルブを開くために大きなパイロット圧力が必要になります。
エネルギー損失と発熱の増大:パイロット圧を高めるためにポンプ吐出圧を高く維持し続ける必要があり、システム全体の圧力損失および油温上昇につながります。
応答性の低下:バルブを開くための圧力が溜まるまでタイムラグが生じ、作動開始のレスポンスがわずかに遅れる場合があります。

低定格流量仕様を選択するデメリット

圧力損失(圧損)が大きい:バルブ内部の流路が絞られているため、通常作動時でも大きな通過圧損が発生します。
アクチュエータ速度の制限:許容流量の上限が低いため、シリンダやモータを高速で動作させることができません。
油温の上昇:絞り抵抗による熱変換が大きく、油圧作動油の劣化やクーラー負荷の増加を招きます。

ベントなし仕様を選択するデメリット

背圧(背圧変動)の影響を受ける:ベントなしのカウンターバランスバルブ設定圧力は背圧の影響を受け(バルブが開きにくくなる)、その割合は(1+パイロット比)となります。例えば4:1のカウンターバランスバルブでは背圧の(1+4)=5倍が設定値に加算されることになります。このため、作動安定性が二次側の状態に左右されます。
複合動作時の不安定化:複数の油圧機器を同時操作して戻り油ラインの圧力が変動すると、カウンターバランスバルブの作動圧がブレて不安定になることがあります。

AFT製カウンターバランスバルブのラインナップと特徴

カウンターバランスバルブラインナップ

Atlantic Fluid Tech はパーツインボディタイプ(マニホールドに部品を直接組み込んだバルブ)のカウンターバランスバルブとカートリッジタイプのカウンターバランスバルブを用意しています。

AFT製パーツインボディタイプのカウンターバランスバルブには次の特徴があります。

  • 陽極酸化メッキを施したアルミニウム合金製マニホールドを選択でき、高い最高圧力を実現しながら、軽い重量とコストパフォーマンスを実現できます
  • パーツインボディ構造により部品点数が少なく、小さなサイズでコストに優れます
  • 最小パイロット比 4:1
  • パーツインボディ構造により、溝付きピストンアンチディレイデバイス、および特殊マニホールド形状などの高度なカスタマイズが可能
  • 通常仕様(圧力補償なし=ベントなし仕様に相当)、部分補償型完全補償型(ベントあり仕様に相当)の三種類から選択できる

AFT製カウンターバランスバルブはなぜ安定性を損なわずに高いパイロット比を達成できるか?

Atlantic Fluid Tech(アトランティックフルードテック)のカウンターバランスバルブは、独自の設計により安定性を損なわずに高いパイロット比(最小パイロット比 4:1)を達成しています。

  • より長いピストンストローク量
  • デュアルコーンピストン、溝付きピストン(採用モデル)
  • メカニカルアンチディレイデバイス(採用モデル)

デュアルコーンピストン、溝付きピストン

カウンターバランスバルブに非常に繊細なメータリング制御が要求される特殊な用途の要求を満たすため、シーリングコーンに特殊な形状を持つ新しいピストンを多数開発しました。

タイプA(デュアルコーンピストン)のシーリングコーンは、2つの異なる円錐角度を持ち、パイロット開始段階では非常に繊細な制御を可能にするため、開口部は非常に狭く、2段階目の開口部では大きな流路のために広くなっています。

タイプBおよびC(制御溝付きピストン)シーリングエリアは円錐形ですが、開口エリアは溝によって制御されます。典型的な用途は、コンクリートポンプクレーン、テレハンドラー、バックホー、ATクレーンです。

溝付きピストンのメリット
  • 操作性の向上
  • より漸進的な流れのコントロールによるスムーズな操作性
  • オイル汚染の影響を受けにくい
  • 厳しい条件下での高い信頼性

メカニカルアンチディレイデバイス MADD

パイロットラインの新システムにより安定性に影響を与えることなく反応時間を短縮することが可能。
特許取得済み

  • オイルが低温でも安定した負荷制御が可能
  • 圧力ピークに対する過剰反応がなく、より安全なブーム操作
  • 負荷重量に関係なく安定した性能を発揮
  • 特殊ピストンと組み合わせてよりスムーズなコントロール

その他の特殊パイロット装置

パイロット圧力低減システム

パイロット圧力をパイロットライン内の圧力より下げることができます。
リリーフバルブはパイロットチャンバーを素早く充填し、減圧機能を遅らせるために使用されます。

負荷降下制御用の特殊バルブ

通常の運転や油温の状態ではリリーフバルブは開かず、油温が低い場合やカウンターバランスバルブを素早く開く必要がある場合は、リリーフバルブが素早く開きます。

圧力補償付きカウンターバランスバルブ

圧力補償付きカウンターバランスバルブはクローズドセンター方向制御バルブと組み合わせて使用されます。

部分補償型カウンターバランスバルブ

MB*P タイプの部分補償型カウンターバランスバルブでは、カウンターバランスバルブと方向制御バルブ(回路図のV2 ポート)の間に存在する背圧は、カウンターバランスバルブのリリーフバルブ設定(アンチショック設定)には影響しませんが、カウンターバランスバルブを開くのに必要なパイロット圧には影響します
このバルブは、アンチショックリリーフバルブ(回路図のRV)を装備したクローズドセンター方向制御バルブと組み合わせて使用するのに適しています。
シリンダ負荷圧力は背圧に影響されず、カウンターバランスバルブの設定値に制限されます。
パイロット圧は背圧の影響を受けます。ある用途では、この効果は負荷降下を制御するのに役立ちます。

完全補償型カウンターバランスバルブ

MB*Tタイプの完全補償型カウンターバランスバルブ(ベントあり仕様)では、カウンターバランスバルブと方向制御バルブ(回路図のV2 ポート)の間に存在する背圧は、カウンターバランスバルブのリリーフバルブ設定(アンチショック設定)とカウンターバランスバルブを開くのに必要なパイロット圧のどちらにも影響しません。
このバルブは、アンチショックリリーフバルブ(回路図のRV)を装備したクローズドセンター比例方向制御バルブと組み合わせて使用するのに適しています。
シリンダ負荷圧力は背圧に影響されず、カウンターバランスバルブの設定値に制限されます。パイロット圧力も比例方向制御バルブのメーターアウト機能によって生成された背圧の変動の影響を受けません。
通常のカウンターバランスバルブでは、背圧は負荷制御の改善に役立ちます。逆にベントあり仕様カウンターバランスバルブでは、パイロット圧のわずかな変化が制御領域の開度に大きく影響するため、通常システムの安定性に悪影響を及ぼします。
結果として、ベント付きバルブの使用は一定の背圧を発生させる優れたメータアウト性能を持つ比例方向制御バルブを備えたシステムに限定されるべきです。

AFT製カウンターバランスバルブ製品解説および選定ガイド

パーツインボディタイプカウンターバランスバルブ

アトランティックフルードテックのパーツインボディタイプカウンターバランスバルブの選定には下記を考慮することで適切なバルブをお選びいただけます。
また、大口需要向けには要求仕様にカスタマイズした製品をご用意できます。

動作種別:シングル、ダブル から選択
一方向のみの負荷制御(クレーンの起伏シリンダや高所作業車のブーム等)にはシングル作動(MBSN/MBSP/MBST)、両方向での負荷制御(油圧モータの正逆転駆動、両ロッドシリンダ等)にはダブル作動(MBDN/MBDP/MBDT)を選定します。

シングルの例
ダブルの例

背圧補償:通常仕様(圧力補償なし=ベントなし仕様に相当)、部分補償型、完全補償型(ベントあり仕様に相当)から選択

定格流量:40~150 L/min から選択(一部 300 L/min や 500 L/min の製品あり)

ボディ材質:スチール製とアルミニウム合金製の製品があります

パイロット比:用途や回路の安定性に応じて適切なパイロット比を選択します
低パイロット比(例 4:1)では非常に安定した制御が可能。衝撃荷重を受けやすい用途や、弾性と慣性負荷が大きいシステムに最適。
中・高パイロット比(例 7:1, 11:1)ではより低いパイロット圧力でバルブを開くことができ、省エネ性や作動レスポンスに優れます。

取付け方式:インライン接続、フランジ接続、バンジョー接続による様々な組み合わせを用意しています。
インライン接続:配管接続が容易で、汎用的な油圧ブロックや回路内に配置可能。
フランジ接続:シリンダポートに直接ボルト留めすることで、配管破断時の即時安全保持を実現。配管工数の削減にも寄与します。
バンジョー接続:コンパクトで狭小スペースでの取付けに威力を発揮。

カートリッジタイプカウンターバランスバルブ

アトランティックフルードテックのカートリッジタイプカウンターバランスバルブの選定には下記を考慮することで適切なバルブをお選びいただけます。

背圧補償:通常仕様(圧力補償なし=ベントなし仕様に相当)、完全補償型(ベントあり仕様に相当)から選択

定格流量:30~300 L/min (通常仕様は最大 320 L/min)から選択
定格流量 30 L/min の製品は「Full area version」で流動抵抗が高く(Restrictive)なっています。
その他の製品は「Differential area version」になります。

パイロット比:用途や回路の安定性に応じて適切なパイロット比を選択します
低パイロット比(例 4:1)では非常に安定した制御が可能。衝撃荷重を受けやすい用途や、弾性と慣性負荷が大きいシステムに最適。
中・高パイロット比(例 8:1)ではより低いパイロット圧力でバルブを開くことができ、省エネ性や作動レスポンスに優れます。

キャビティ:標準的なSAEキャビティ(08〜20)と弊社独自キャビティの製品に加え、通常仕様では他社製キャビティとも互換性のある製品(VP000161=T11A、VP000165=T-2A、VP000166=T17A)を揃え、既存システムの性能向上を容易に実現できます。

カウンターバランスバルブ設計上の注意点

  • 通常低いパイロット比(5:1以下)は、特に弾性と慣性負荷が大きいシステムの場合により優れた負荷制御と安定性を提供します。
  • 油圧モータの場合、一般にパイロット比を高くするとエネルギー損失を抑えながら許容可能な制御を行うことができます。安全上の理由から静止位置ではモータの内部漏れを考慮し、常にスプリングブレーキ(ネガティブブレーキ)でロックする必要があります。
  • 高いパイロット比は、発熱を抑え、低圧でのパイロット操作を可能にすることで油圧システムの効率を向上させるが、その代償として安定性と良好な負荷制御が損なわれます。
  • 通常、カウンターバランスバルブはオーバーヒートを引き起こす可能性があるため、ハイドロスタティックシステムでは使用すべきではありません。
  • カウンターバランスバルブが適切に機能するためには、シリンダーに常に少なくとも40~50barの背圧を発生させなければなりません。そのためカウンターバランスバルブはエネルギーを消費する装置であり、大きなサイズのバルブを使用してシステム圧力を降下させることはできません。
  • カウンターバランスバルブのサイズは大きくするよりも、若干小さくする方が負荷制御の点で望ましいです。
  • カウンターバランスバルブは、ホースが破断した場合に安全なように、アクチュエータのできるだけ近くに取り付けることが推奨されます。アクチュエータへのフランジ接続が最も安全です。
  • カウンターバランスバルブの設定は、常に負荷による最大圧力より30%以上高くする必要があります。
  • AFTカウンターバランスバルブでは、調整ネジを反時計回りに回すと設定圧力が降下し、時計回りに回すと設定圧力が上昇します。
  • システムの安定性は、可能な限り低いパイロット比を使用することによって最大化されます。
  • 高いパイロット比(7:1以上)の使用は、油圧モータ回路またはデュアルロッドシリンダ回路に限定する必要があります。
  • カウンターバランスバルブは通常はクラッキング(初期開放)設定圧力の85%で再閉止します。
  • カウンターバランスバルブの最大許容リーク量は、その設定圧力の77%(1/1.3)に等しいリシート圧力で5滴/分以下です。従って、カウンターバランスバルブが最大使用負荷の1.3倍(30%高い)に等しい圧力で適切に設定されていれば、漏れの無い装置とみなすことができます。
  • ベントなしのカウンターバランスバルブ設定圧力は背圧の影響を受け、その割合は(1+パイロット比)となります。例えば4:1のカウンターバランスバルブでは背圧の(1+4)=5倍が設定値に加算されることになります。
  • カウンターバランスバルブにはアンチショックリリーフ機能が内蔵されていますが、「良い」リリーフバルブとはみなされず、騒音や安定性の問題が予想されます。
  • システムが不安定な場合、パイロットラインにアキュムレータを追加すると、パイロット圧力の変動を吸収してパイロット信号が安定に保たれ状況が改善されます。
  • 極端に不安定な場合は、アクチュエータとカウンターバランスバルブの間に流量制御弁を追加して、メーターアウト能力を向上させることができます。
  • 通常のカウンターバランスバルブでは、背圧は負荷制御の改善に役立ちます。逆にベント付きカウンターバランスバルブでは、パイロット圧のわずかな変化が制御領域の開度に大きく影響するため、通常システムの安定性に悪影響を及ぼします。結果として、ベント付きバルブの使用は一定の背圧を発生させる優れたメータアウト性能を持つ比例方向制御弁を備えたシステムに限定されるべきです。

特殊なカウンターバランスバルブ

カウンターバランスバルブ 差動バルブ(MRSN - MRDNシリーズ)

差動バルブはポンプフローだけでは不可能なシリンダの高速移動を可能にします。これを実現するために、シリンダのロッド端からキャップ側へのオイルをポンプ流量に加え、前進速度を増加させます。
差動バルブはシングルロッドシリンダの伸長運動中にのみ適用できます。後退動作やデュアルロッドシリンダ、油圧モータには適用できません。
得られる速度はシリンダの二つの領域(図ではAbとAr)の比に依存し、以下の式で計算できます:
再生流量(ロッド側からの流出)= [(Db2 - Dr2) / Dr2] * ポンプ流量
合成流量(ポンプ+再生)= (Db2 / Dr2) * ポンプ流量
引込流量(キャップ側からの流出)= [Db2 / (Db2 - Dr2)] * ポンプ流量
差動時にはシリンダの押し付け力が激減することに注意してください:押し付け力を発生する面積はロッド面積(Ar)に等しくなります。これを回避するために油圧または電気的な除外制御を備えた回生バルブが利用可能です。
カウンターバランスバルブ①は、差動機能の他に、シリンダを伸長する際の負荷の動作制御も可能です。

油圧モータ用カウンターバランスバルブ(MBDN-060-xMSF)

油圧モータにフランジ接続可能なカウンターバランスバルブは、標準的な上部に取付けられたカウンターバランスバルブ(シングルまたはデュアル)と、V1またはV2ポートに圧力と流れが加えられると自動的に油圧モータのブレーキ解除ポートに圧力を送るシャトルバルブを統合したモジュールバルブです。
これらは、主要なタイプの油圧モータに適応するために、異なるタイプのサブプレートにフランジ取り付けすることができます。(Sauer Danfoss, Sam Hydraulic, Eaton Charlynnなど)。

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