ロードホールディングには下記の機能があります。

  1. ホースバースト(配管破損)時の安全確保
    ISO8643において最も重要な要求事項は、シリンダーと操作弁を結ぶ高圧ホースが万が一破裂したり、配管が脱落したりした場合の安全対策です。
    ロードホールディングバルブがない場合、配管が破損するとシリンダー内の作動油が一気に流出し、重力に従ってブームやアームが急落下します。これは重大な人身事故や物的損害に直結します。
  2. 負荷保持(ドリフト防止)
    主操作弁(メインコントロールバルブ)には、構造上どうしてもスプールとハウジングの間に微小な隙間があり、そこから内部リークが発生します。
    負荷を上げた状態で長時間放置すると、内部リークによってシリンダーが徐々に縮み、荷の位置が下がってしまいます(自然降下)。
    AFT製ロードホールディングバルブは、ポペット構造を採用しており、スプール形式に比べて極めて高い密閉性を持ちます。これにより、エンジン停止時や中立時でも、負荷を正確な位置に長時間保持することができます。
  3. オーバーランニングロードの制御
    重力によって勝手に動こうとする負荷(オーバーランニングロード)を操作する場合、ポンプからの供給量よりも負荷による流出量が多くなることがあります。この状態ではシリンダー内に「キャビテーション(真空状態)」が発生し、動作がガクガクと不安定になったり、制御不能な加速(暴走)を招いたりします。
    ロードホールディングバルブは、戻り側の油に「背圧」をかけることで、ポンプからの供給量に見合った速度でしか動かないように制御します。これにより、スムーズで安定した下降操作が実現します。
  4. 衝撃圧および熱膨張への対応
    外部からの衝撃や、日光による油温上昇に伴う内部圧力の増大も無視できません。
    AFT製ロードホールディングバルブにはリリーフ機能が組み込まれており、設定圧力を超える過大な圧力がシリンダー内に発生した際に、回路を保護する役割も果たします。

ISO8643
土工機械-油圧ショベル及びバックホウローダの降下制御装置-要求性能及び試験

ISO8643 ホース破損時の最小要件:

  • 荷の吊り上げ中、ホース破損後の10秒間に荷が100mm以上下がってはならない。
  • 荷を保持中、ホース破損後の10秒間に荷が100mm以上下がってはならない。
  • 荷を降下中、ホース破損後にその降下速度は100%を超えて上昇してはならない。

European Standard 474 1994 (ISO Standard 8643) のホース破裂時の安全要求事項への適合性を確認するため、各機種についてブーム上昇、ブーム保持、ブーム降下の各条件で実地試験を行う必要があります。
ホース破裂シミュレーション試験のための試験装置のレイアウトを図に示します。

一般的なロードホールディングバルブの動作

(1) ブーム上昇時

主操作弁から送られたオイルはロードホールディングバルブ内のチェックバルブを通ってシリンダーに流れ込みます。

荷重を持ち上げるのに必要な圧力を供給し、シリンダー上昇速度を決定します。

(2) ブーム保持時

主操作弁スプールが中央に移動されると、シリンダーを動かす流れは停止し、シリンダーの負荷による圧力によってチェックバルブは着座し、負荷保持機能を発揮します。

チェックバルブとメータリングバルブからの漏れはほとんどなく、シリンダーは所定の位置に保持されます。

(3) ブーム降下時

降下はジョイスティックで制御され、パイロット圧が主操作弁のスプールとロードホールディングバルブのパイロットピストンに供給されます。

この圧力がパイロットピストンスプリングの力に打ち勝ってロードホールディングバルブを開き始め、ブームを徐々に降下させます。

注:European Standard 474 1994 (ISO Standard 8643) のホース破裂時の安全要求事項への適合には、シリンダの初期動作は主操作弁のスプールではなく、主にロードホールディングバルブによって制御される必要があります。

(4) アンチショック機能

シリンダー内の圧力がロードホールディングバルブの小さなパイロットリリーフ弁(回路図内の番号2)の設定値を超えた場合にこれが開き、ロードホールディングバルブメインスプールのパイロットを作動させます。

メインスプールは完全に開き、主操作弁のリリーフ弁を通じて圧力ピークを素早く逃がすことができます。

圧力降下曲線は非常に平坦で、ヒステリシスは非常に小さくなります。

(5) ホース破裂時

ロードホールディングバルブと主操作弁の間でホース破裂が発生した場合に、

  1. ブーム上昇時にはシリンダーの圧力によりロードホールディングバルブ内のチェックバルブが閉じます。
  2. ブーム保持時には既にチェックバルブが閉じています。
  3. ブーム降下時にはロードホールディングバルブの開口が主操作弁の1.7倍以下(そのようにロードホールディングバルブが設計されていることが必要)のため、ホース破裂により主操作弁の絞りが無くなり、ロードホールディングバルブの絞りのみになっても、破裂前の降下速度の200%を超えることがありません。